高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2018年2月16日

転ばぬ先の糸


 南国高知といえどもこの10日間ほど寒い日が続き、朝の温度は連日マイナスを記録していました。今朝の最低気温の予報は3度で寒さはまったく感じない塩梅。テレビでは東北地方の春の風物詩・素魚(シロウオ)の踊り食いが流されており、出勤途中のJR線路脇はスイセンに替わって黄色いナノハナが咲き誇っていました。確実に春は来ているのだなと思いつつ、職場に着いてから庭に出て数年前に篤志家から贈られた河津桜を見上げました。早咲きの桜でもうあちこちで咲き始めたと聞き、利用者とこの2月の慰めにと花見を計画しているのですが、まだつぼみです。利用者も桜を眺めながら、「今年は寒い日が続いたからね。でも楽しみは待っているときも楽しみだから」と待ち焦がれています。

 太陰暦は月の満ち欠けに基づいて1カ月を決め、太陰暦での今年の旧正月は2月16日、今日です。旧正月のころになると、やはり新春の言葉がふさわしく心も体も軽くなります。旧正月の行事として私たちの施設では利用者らが、木綿の糸を左足首に巻きました。木綿の糸を五重に巻いた輪っかです。古くからいる職員もこのような風習は初めてだったようで、新しく入居した利用者の提案でした。

 ブラジルで発祥し、サッカーの選手らが勝利を願って手首に巻くミサンガ、また、フーテンの寅さんが手首にしていた磁気健康バンド(いや寅さんなら少し気取ってブレスレットの類いでしょうか)なら分かりますが、足首に木綿糸を巻く風習は初めてです。「1年間転ぶことがないように」と願掛け、一種のおまじないの意味があると言います。ミサンガのように糸の色はこだわらないそうです。また、地方によっては巻く日が異なるそうです。

 どんなことでも人が集まり、あれやこれや言いながら作ることは楽しいことです。ものの10分もあれば4,5個作る人いれば、口達者で手はさほど動かぬ人もいます。また作り上げたけれども、かかと辺りで引っかかり足首まで到達せず作り直す人には「巻いて最後にひもを結ぶのが普通だが」と揶揄します。健康や病気については日ごろから皆さん博学ですから、話はそちらに脱線します。「転倒するのは居室が一番多い」「転倒は寝たきり、要介護の原因になり、そこから認知症も始まる」との医学派は主張します。健康学の大家は「転倒は下肢の筋力が弱くなって足が上がらないことが原因。日ごろの運動が大切。散歩が良い」と力説します。栄養学派は「ビタミンDが不足するとカルシウムの吸収ができにくく骨が弱くなり、折れやすくなる。Dが多い干し魚やシイタケを食べるのがいい。他にもコンブも良い」などと唱え、百花繚乱です。

 結論から言えば、健康になると思えるもの、おまじないでもよく、皆さんがいろいろ挑戦する気持ちは管理者としてうれしいものです。参加した全員が足首に巻いている輪っかを互いに見比べながら、似合うの似合わないのと、またニコニコ顔。ところが、こちらはうれしいのか、ひょっとしたら悲しいのか、悲喜こもごもなのが、輪っかをプレゼントされたことです。そのうちに備えなさいとの温かい気持ちでしょうし、各専門家がおっしゃることも正しいことで勉強にもなりました。「良い日だった」と日記には書きたいものです。

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