高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2017年3月27日

認知症予防ワクチン


 昨日26日夜、NHK総合テレビが「認知症1300万人時代」と題した高齢者医療・福祉の特集を見ました。団塊の世代のすべての人が75歳以上の後期高齢者となる8年後の2025年、認知症予備軍ともなる軽度認知障害(MCI)と認知症患者は合わせて1,300万人に達すると伝えました。国民の9人に1人、65歳以上に限れば実に3人に1人の割合です。さらに特別養護老人ホームに入りたくても入れない待機者は62万人、一人暮らしの認知症患者は現在の94万人から5割増の144万人、認知症のドライバーは現在の252万人から約4割増の350万人となり、介護に従事する人が38万人不足すると続けました。出演していた大学教授は高齢者が地域で安心して暮らしてけるのかどうか、「今が分水嶺だ」と指摘しました。

 実際、2025年にどのような問題が起きるのでしょうか。独居の認知症高齢者は熱中症、薬の飲み忘れなどから死を招く恐れがあり、救急車で搬送される3~4人に1人が認知症の疑いのある人となり緊急救命医療の機能が損なわれる、さらに交通事故ではこれまで多かった被害者の割合よりも加害者の割合が高くなる、企業も認知症者への対応をしなければ業績が縮小するなどと報じていました。

 対策として580万人とも予測されるMCIの人の早期対応を掲げていました。MCIの段階では他人の助けがなくても生活できる人は多く、しかも早い段階で発見し適切な治療・改善を行えば健常者への回復率が30~40%あり、認知症になるスピードを遅らせることもできます。フィンランドの例ですが、1週間に3回、1日30分の速歩などの運動、野菜や魚などの摂取、記憶力を高めるゲームに取り組み、血圧の管理などを2年間続けたところ、対象者の認知機能が平均して25%上昇したと言います。

 私たちの施設でも血圧は看護師が1カ月に1回全員を計測、食事は栄養士と調理員がカロリー計算、栄養計算をした者を提供、心身の運動は介護職員が朝のラジオ体操や昼の百歳体操、散歩、記憶力を養うゲームなどを行っています。これはMCIが社会に喧伝される前からの取り組みで、そう思えば認知症が進む方は少ないような感がします。

 では、認知症にならない薬はないのでしょうか。インフルエンザのように予防ワクチンは開発されないのでしょうか。認知症の進行を遅らせる薬は既に市販されていますが、ワクチンはまだ基礎研究の段階です。昨年夏、オーストラリアとアメリカの大学が共同でアルツハイマー型認知症の予防ワクチンの開発に成功したと発表しました。ワクチンは、脳内に蓄積し認知症の症状を引きおこすアミロイドベータとタウタンパク質を分解する働きを持つといいます。基礎研究で見つかった物質が新薬承認される確率は1万分の1とも言われ、人への臨床試験が始まるにはまだ3~5年はかかり、市場に薬として売り出されるには10年単位の年月が必要です。しかし、2037年に東京~大阪間を約1時間で結ぶリニアモーターと同じくらいワクワクします。利用者がどちらの夢も見ながら認知症にならないよう地道な歩みを進めたいものです。

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