高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2017年8月28日

スナックの三つの効用


 夜間遅くまで開いているスナックは地域の連帯を深め、治安にも貢献している―との研究を首都大学東京の谷口功一教授の学者グループがこのほど「日本の夜の公共圏 スナック研究序説」(白水社)にまとめました。スタッフ10人の専門は法哲学や日本文学、政治思想史で、2015年に「スナック研究会」を設立。行政の統計資料や歴史書、電話帳、地図などを調査、スナックにも足しげく通った成果も得られ、「地域社会でスナックの存在意義が明らかになった」と結論付けています。

 研究序説は、スナックは1964年ごろに誕生、その形態をママが1人でカウンター越しに接客し、ボトルのキープ料が3,000円、毎回のチャージ料が3,000円ほど、そして多くの店でカラオケを完備し、時間無制限で、指名制がない点がキャバクラと一線を画していると記しています。スナックは現在全国に10万店以上あり、市区町村別では福岡市博多区が全国トップの838店、札幌市中央区810店、広島市中区809店と続き、高知市は14位の537店です。東京は意外に少なく新宿区が434店の19位です。人口当たりの件数では安芸郡奈半利町が5位となっています。また夜間光量を視点に、スナックが10店多い地域の刑法犯罪は他の地域に比べ46件少ないと分析し、「スナックの地域での役割は、今後ますます重要になるかもしれない」と地方創生への新たな指針を掲げています。

 私たちの施設がある朝倉地区も、報告された二つの成果の前にある「夜間の光量が低い地域では」に当たります。地域の町内会役員OBらと意見交換との理由からふた月に1回、親睦会を開いています。そして、2次会となるのが近くのスナックです。かれこれ40年くらいは開いているのでしょうか、ママは私のママ(母)と同じくらいの年齢ですが愛想が良く、カウンターを挟むことなく酒やさかなをテーブル席まで運んでくれる、そして著書よりもかなりの安い値段で楽しめるのが魅力です。暗い道を煌々と輝く店のイルミネーションを頼りに訪れます。もちろんここに来る時には既に胃袋も満たされており元気いっぱい、笑いもあり踊りもありで飲めや歌えやの状態。そして、酔眼もうろうの境地でも高吟放歌し続けています。1人3曲歌うにしても、すぐ2、3時間は過ぎてしまいますが、誰も帰ろうとはしません。

 これが地域での連帯、親睦となっているのだなと嬉しくなります。最年少の私ですが、酒に弱いのか、体力、気力がないのか、午前様となるとわが家が恋しくなります。しかし、ここから敵愾心が燃え、また元気を取り戻します。これも連帯です。もちろん、明々と灯るネオンサインは遠目でも分かり、まさかの時の夜間の駆け込み寺でもあります。何かあったら10人前後の酔客も力になれるはずです。研究通りです。

 でも、それ相当の年齢の方々が延々6時間余りも飲み続けますから、福祉に携わる者としては事故でもあれば、けがや病気にでもなればと少なからず心配します。早いご帰館をさりげなく勧めるのですが、皆が「この歳まで元気で、まだこの歳で、この時間まで痛飲できる。うれしい」と拒み、中には「酒を飲んで死んだら本望よ、果報者よ。病気で死ぬことこそ詰まらん」と笑い飛ばす人もいます。スナック、酒については若者離れも昨今あるようですが、「高齢者の生きがいつくり」との第三の成果があることも次の研究に含んでほしいものです。

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