高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2018年4月14日

5~83歳79人の絵

 新しい年度が始まり、施設の雰囲気も新しさを出すため事務所や利用者の談話室を模様替えしました。そんな折、知人から1枚の大きな絵を借りることができました。縦110㌢、横120センチくらいです。5歳から83歳までの合わせて79人が、はがきの大きさの画用紙にリンゴの絵を描いたものを1枚の額に納めたものです。2階の浴室付近は窓がなくやや暗かったため、そこの壁に飾っています。作品は赤を基調にしたものがやはり多く、辺り一帯が明るく華やかな感じがします。絵の前を行き交う利用者は「この下のリンゴのかたちが良い」「あの左側のリンゴがおいしそう」「私はこっちのリンゴが好き」などと話し合い、小さな子どもが描いたと思える作品には「本当にかわいらしい」との感想も楽しそうです。しかし、1人でもずいぶん長く足を止め、絵を眺めています。職員も同じです。

 鉛筆だけの素描、色鉛筆、クレヨン、絵の具など色材もそれぞれ自由です。色も他に紫っぽいもの、青いもの、淡い黄緑、黄色っぽいもの、白っぽいもの、中には黒っぽいものもあり、「黒リンゴという品種はあったけ」などと思い起こしているようです。描き方も輪郭を写実的にはっきりとしたもの、形も色もぼかしたもの、表面を滑らかに描いたもの、ゴツゴツを強調したものなどさまざまです。光沢をしっかり表したもの、また立体感を出すため陰影をうまく生かしたものなど長い間、描き続けてきた思えるプロ級の作品も含まれます。作者のサインがあるもの、ないもの。あるものはカタカナ、アルファベット、イニシャルなど。たどたどしいひらがなのサインは再び絵を見て、ほほえましくなります。

 リンゴを描くだけでもずいぶん個性は出るものですね。リンゴは身近にあり、静物画の手軽なモチーフになりますが、絵画教室を開いている先生が県内各地の教室の生徒さんに協力を求めて「リンゴの絵」を描いてもらったそうです。幼稚園児、小学生、音楽の好きな中学生、フリーターとして生計を立てている人、高校の教師、医療関係者、警察官、ピアニスト、公務員退職の団塊の世代、専業主婦など老若男女、職業もさまざまです。これまで他の施設で展示してあったのですが、今回は縁あって私どもの施設で借りることができました。

 子どもの絵は分かりますが、83歳の方の絵は分かりません。またどんな方が、どの絵を描いたものかも分かりません。ただ、それぞれの個性に人の魅力を感じ、勝手に作者を想像して楽しんでいます。ウリのような細長いリンゴには「そんな品種あるのかな。作者の創造の世界の中だけなのか。奥さんが細い顔で、細いものが好きなんだろうか」など、作者の性別も分からないのに想像を膨らませます。それでたたずむ時間が長くなります。人は人に興味を持ち、関心があるようです。

年金は実質下がり、医療費や介護保険料は上がり、利用者の生活不安は増えています。加齢に伴う健康不安も募ります。「このまま生きていえても仕方ない」との投げやりの声も時折聞こえます。私達は利用者の人生最終章が安らかになることを目指し、施設を運営しています。この絵が利用者に癒しを与えることを期待しています。

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