高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2014年3月10日

馥郁たる梅の開花

 「木の花」という言葉をご存知ですか? 「このはな」と読みます。梅の別称、美称です。木の花は「此の花」とも書き、同じく雅語です。

 梅は百花に先駆けて春を告げ、余寒の人々の心を慰め、温めてきました。その馥郁(ふくいく)たる香りは鳥をも招いています。「馥郁」は辞典には「良い香りの漂うさま」とあります。その用例を見ても「馥郁たる梅の香り」などが出ており、ラベンダーやイチゴなど他の花や果物にはさほど使われてないようです。梅専用の形容語句とは少しおおげさでしょうか。少し脱線しますが、「梅にうぐいす」のことわざはメジロの間違いではないかとの論議があります。「梅の花にうぐいすが来た」との意味ではなく、この場合の格助詞「に」は組み合わせを表す「に」で、春の最高の取り合わせとして「梅とうぐいす」との意味でいいのではないでしょうか。

 いにしえの奈良の時代は桜よりも梅が愛され、万葉集には桜よりも梅を詠んだ歌が3倍近くもあるそうです。木の花はそのころ生まれた古い言葉なのでしょう。794年に桓武天皇が京都に都を移した(歴史で習った平安遷都)ときも、宮中に梅が植えられました。

 今、上級学校への進学を目指し入学試験が全国で行われています。受験生のかばんに付けられ、また胸のポケットに仕舞われているのが合格祈願のお守りです。学問の神様・菅原道真公が祭られている福岡県の大宰府天満宮のお守りは特に人気です。道真は優れた学者・詩人だったことから学問の神様として信仰されるようになりました。

 この道真が醍醐天皇の命により大宰権帥(だざいのごんのそち=大宰府知事)に左遷され、京を離れ大宰府に向け出発したのが901年の2月16日(旧暦延喜元年1月25日)。そして京を発つとき詠んだ歌が「東風(こち)吹かば にほひおこせよ 梅の花 主(あるじ)なしとて 春な忘れそ」です。現代語訳だと「暖かい東風が吹いたならばその風に託して私がいる大宰府に花の香りを送ってほしい、我が家の梅の木よ。主人の私がいないからといって春を忘れてはいけない」となります。高知に比べ寒い京ではその時節、まだ梅は咲いていなかったのでしょう。心ならずして京を離れる道真の心境、梅には「平常」を願う気持ちが浮かびます。

 高知城の梅林は今が盛り。皆さんも近くの梅を愛でてください。百花繚乱が見事な桜と違い、楚々とした風情が得られるはず。また、四季風呂暦の2月は梅です。一輪の梅を浴室の片隅に掲げるのもおつなものでしょう。風呂場に香りが立ち込め心もリフレッシュ、疲れも取れて入浴効果も倍加というものです。私たちの施設の風呂場にも近く挿す予定です。

(2014年3月)

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