高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

お問い合わせはこちら
  • 088-844-1313
  • 高知市朝倉丙1644番地1

施設長のふれあい日記ご意見・ご感想などはこちらにお寄せください

掲載日:2014年4月11日

岩沼復興プロジェクト

 チリで起きた地震の津波が1万7千キロも離れた日本に押し寄せました。「チリの大地震で津波の恐れ」との一報を聞いた折、東日本大震災を思い浮かべましたが、大きな被害はなかったようで安心しました。

 東日本大震災からの復興を図る「岩沼プロジェクト」と呼ばれる事業をご存じですか。南国市の姉妹都市・宮城県岩沼市で、震災前に築かれていた人々の寄り合いや地域の絆が、震災後のお年寄りの生活や健康にどう役立ったか、どのような成果をもたらせたかを実証する新たな取り組みです。絆の効能はこれまで事例や経験だけで伝えられ、確証が得られていませんでしたから、学問としての追究は画期的です。国だけでなくアメリカも予算を出しています。

 岩沼市の東側は太平洋に面し、西側は山地が連なります。震災では死者・行方不明者が187人、全壊を含め壊れた家屋は5,428棟に上り、津波で地域の約半分が浸水しました。

 研究で検証するのは「被災前の豊かな絆は、被災2年半後(調査に入った時点)の健康状態に良い影響を及ぼす」との仮説です。震災前の2010年10月に「健康と暮らし」との調査に回答した岩沼市の65歳以上のお年寄り5,058人を再調査し、他の自治体との比較も行われています。

 健康への成果発表は莫大なデータを解析するためしばらく時間を要しますが、地域がよくまとまり、震災前から行政との関係が良好だった岩沼市の津波被災地区は、集団移転の合意形成が早く進んだ。市民会館などの避難先での部屋割りを集落単位で行い、館長との意見交換、協議、決定も得円滑で、警察沙汰になるような出来事はなかったと、「絆」の効果が報告されています。このような考え方は社会学上、「ソーシャル・キャピタル」と呼ばれ、「地域の絆力」とやさしく言い換えている学者もおります。結びつきが強いアメリカのイタリア移民居住地区の健康調査では、周辺地域に比べ心臓発作の発症率が半分以下との結果が出ていて、公衆衛生や予防医学への応用が進んできています。

 高知県はがん検診の受診率が低く、がん罹患率が高いことから、高知大学医学部の研究グループは「ソーシャル・キャピタル」の手法を用い、検診促進の方策を探っています。同グループは、他地域で住民の行政や政治への深い関わりがボランティア活動の参加率向上とともに、がんの検診受診率の高さに関係することをこれまで確認しています。一方、ボランティア活動の中でも災害に関した活動が高知県は全国でも低いことから、高知県でのボランティア活動活性化とがん検診率向上との関連、その要因を解明できれは罹患率の低減にも結びつくのではないかとの仮説を立て、研究を重ねています。県民の死因のうち約3割ががんで、がん撲滅は高知県の願望です。研究者は「がん撲滅という言葉を早く撲滅したい」と頑張っています。

(2014年4月)

一覧へ戻る

PAGE TOP