高知新聞社会福祉事業団 軽費老人ホームA型 軽費老人ホームA型 あかねの里

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掲載日:2017年8月21日

ハチマル・ニイマル運動

 「80・20(ハチマル・ニイマル)運動」。1989年から厚生労働省と日本歯科医師会が行っている「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。高知県でもこの18日から約1カ月間、20本以上の歯を持つ人(80・20達成者ともいうそうです)を募集し、11月8日(いい歯の日)に顕彰しようとの運動を展開しています。厚生労働省の調べによると、80・20達成者は2005年には24%でしたが、年々増えて16年には50%を超すまでになりました。しかし、ドイツやニュージーランドなど諸国と比べるとまだ低く、中高年以降、歯周病やむし歯が原因で歯を失っていく傾向が見られます。日本人の昨年の平均寿命は男女とも香港に次いで世界2位の長寿大国ですが、歯については長寿ではなく、歯科検診推進も今後の課題でしょう。

 親知らずを除く28本の歯のうち自分の歯が20本以上あれば十分にそしゃくすることができ、食べ物から栄養摂取することでの問題はありません。しかし、20本以下の人は20本以上の人に比べて同じ量を食べても、動物性たんぱく質で88%、リンが92%、ビタミンAは95%の摂取しか望めないとの統計があります。肉やキノコなど動物性たんぱく質や無機質を多く含む食べ物は幾分硬く、歯の少ない人は炭水化物など柔らかいものを好む傾向にもなり、太っていても低栄養になる恐れがあるようです。そしてミネラルやビタミン類が不足している人は糖尿病や肺炎、脳梗塞などに影響を及ぼす歯周病が発症しやすくなります。

 さらに歯が少ない人は会話の際も滑舌が悪くなり、カラオケも十分な発声ができないし、歯のかみ合わせも悪く歯を食いしばれず、歩く際も転倒する恐れが高くなるとも言われます。このようなことからは生活面でも消極的になるでしょうし、実際、歯の本数が少ないお年寄りは認知症になったり、寝たきりになったりする割合が高いと言われています。

 私たちの施設では歯医者さんが定期的に訪問診療に来てくれて、その折に他の利用者の相談にも乗ってもらっています。一口で30回以上かむこと、歯みがきとともに歯間ブラシを併用することなども指導してくれます。そして今、利用者に歯が欠けている人も結構いることから、勧めていることが入れ歯づくりです。やはり自分の歯で食べられるうちは自分の歯でしっかりとかみ、食事を楽しんで健康でいてもらいたいからです。

 「入れ歯にしたら」と勧めても、長年歯抜けで過ごしているうちに不自由も感じなくなり、上記の利点や欠点を説いてもなかなか応じてくれません。看護師を中心に日々説得し続けます。時には同じこと繰り返し、巻き返しで、その粘り強さには敬服しながらも、元気な高齢者が暮らすというA型施設での基本的な務めなのか、いやこれはお節介の範囲なのかと、境界を巡っての葛藤もあります。私からの殺し文句は「ここでの暮らしが気に入っているのなら、ここで長生きすることを考えなくては」とけしかけて、、作る費用が高いとの訴えには無理のない範囲でできることを説き、「貯めているお金も死んだら何にも使えない。生きているうちに有効に使わなくては」とダメを押します。職員の軟と私の硬と使い分けです。

 そんなことから私たちの施設では制度以外にも11月8日には入れ歯を含めた80・20達成者を顕彰することにしました。

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